昨今、太陽電池市場の急激な活性化により、その原料であるモノシラン、クロロシランなどのシランガス類のメーカーや、単結晶/多結晶Siを製造するメーカーが急ピッチで設備を建設し始めている。
これらのメーカーの製造工程からは未反応のシランガス類が発生し、従来水によるシランガス類の分解が行われてきた。この方法は高温での処理ではないため、燃料の使用がなくランニングコストは少ないものの、分解後に生成したSiO2が水に分散してゲル状物質ができるために分解塔内部の閉塞が生じ、複数の塔を切り替えながら操業している。また、生成したゲル状物質は非常にろ過が難しく、フィルタの目詰まりも頻発している。
当社では上記のような問題が発生せず、SiO2を乾いた状態で取り扱える燃焼法によるシランガス類処理システムを積極的にアピールしている。このシステムは、独自に開発した特殊焼却炉と、全世界に100基以上の実績を持つ塩酸回収装置とを組み合わせたものである。
特殊焼却炉ではモノシランやクロロシランなどのガス状のSi化合物だけでなく、四塩化ケイ素やシリカを含む廃油などの液状のSi化合物まで処理することが可能である。そして、燃焼後に発生するシリカの炉壁付着を防止する特殊機構を備えており連続運転にも支障がない。
図1 W-VGR(湿式ベントガスリカバリシステム)
燃焼により微粒化したシリカは、ガス冷却器で冷却されフィルタにて捕集される。クロロシラン系ガスの処理をする場合、分解して生成した塩化水素が、捕集されたシリカに付着している。このシリカを加熱することにより付着した塩化水素を脱離させシリカを回収する技術も開発した。
図2 D-VGR(乾式ベントガスリカバリシステム)
一方、排ガス中に含まれる塩化水素は、後段の塩酸回収装置に供給される。この装置は、当社の大きな柱である充填物テラレットを用いた充填塔である吸収塔、放散塔、除害塔で構成されている。この装置は、最初の吸収塔では、排ガス中の塩化水素を高効率で吸収し、薄い塩酸を20%以上の塩酸から100%の塩化水素まで濃度を設定して回収することが可能。吸収できなかった微量の有害ガスは除害塔で規制値以下にする。
本システムはすでに国内外の太陽電池産業からだけではなく、半導体産業からも引き合いを受けており、09年10月には実証設備も完成させて受注拡大を目指す。