従来、半導体のレジスト剥離やウェーハ洗浄向けに使用されている薬品は、フッ酸、硫酸、塩酸、過酸化水素水などを組み合わせた洗浄方式が一般的だが、これらは劇薬であるため環境面において難点があった。また、これまでオゾン水をウェーハ洗浄に利用することが検討されてきたが、どんなに高い濃度でも60ppmであり、十分な酸化力を有していなかった。また、オゾナイザから発生したオゾンの回収率も50%程度と低く、大きなオゾナイザを必要とするだけでなく、廃棄オゾンの処理用触媒が大量に廃棄される状況であった。
BMBジェネレータプロセスフロー
当社のオゾン水製造装置は高圧、高濃度の放電式オゾン発生器を採用し、独自開発のアブソーバなどの工夫によりオゾン濃度100~150ppmレベルを実現できる。また、廃棄オゾンの90%以上を回収できるため、オゾン処理用触媒の廃棄量も大幅に削減することができる。
従来、オゾン水を生成させる方法としては、ディフューザ方式と充填塔方式があった。ディフューザ方式は、水中にオゾンを吹き込むことになるが、高価なオゾンの使用量を出来る限り少なくするために、分散させるオゾン量はどうしても少量になってしまい、どんなに細かい気泡を作っても気液界面積の絶対量が小さいため、吸収できるオゾン量はわずかである。
一方、充填塔方式ではオゾン量が少ないため、オゾンが塔内で停滞するに近い状態になるため、これもまた充填塔の利点を生かせずにいた。
当社のアブソーバは、充填塔と棚段塔の利点を併せ持った塔であり、各段に充填物を詰めている。当社がオゾンを高濃度にできる原理は、このひとつひとつの小さな段でガスの流れをプラグフローに近づけることができ、個々の段での濃度差を確保できることにある。また、このことが塔高を一般的な充填塔の1/2以下にすることにも繋がり、装置をコンパクトに設計することが可能となった。
この高濃度オゾン水は、従来の洗浄水と同等以上の洗浄力が期待でき、レジスト剥離では3~4μmの高レート剥離を実現した。コンタミネーションは金属(Fe、Cu、Cr、Na、Al)1ppt以下、TOCは0.001ppm以下で、また、0.1μm以下の粒子は1ml中1個レベルに抑えている。
この装置は従来法のような塩化水素やアンモニアなどの排ガスの処理が不要であり、クリーンルーム内の作業環境を健全にできることもアピールポイントとして、半導体や太陽電池メーカーへの受注拡大を目指している。